「合気」は「気合」?

合気道の「合気」という言葉はどんな意味合いがあるのでしょうか。武術の世界では「相互いに充実した気力を持って対峙した状態」を指しており、好ましくない意味で用いられています。たとえば高野佐三郎著の「剣道」の中で、「合気を外して闘うを肝要とす」と書かれているように、勝負上で注意すべき点として書かれている程度です。

しかし明治になり、剣術書とは別に「合気之術」あるいは「合気術」に関する文献がみられるようになり、積極的な意味づけがなされています。

明治に出版された「合気之術」は合気に関するもっとも古い本と思われます。ここで必須内容としてあげているのは、「敵人読心の術」と「掛声の気合」です。

前者は、敵が自分を打とうと心に思い起こすと同時にその心を読み取ること、あるいは、敵が打ちかからんとする気をはずして「後の先」をとること。いずれにしても先んじて敵を制する心法を指しています。

後者は「合気之術を施すについての獲物」であり「敵人の心胸を撃つ」「無形鋭利の神剣」と呼び、これの練磨によって豪傑を転倒させることが出来るとしています。

このように明治中期以降、合気という言葉が気合術に類する積極的な意味で、武術関係者の間で語られていました。この傾向は大正期に入っても変わらず、各種の武術書に記述され、その意味はいずれも前述の「合気之術」に近く、「気合や読心術を通して先をとること」にあります。

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